そんな維新に刺客が送り込まれた。大阪維新の会と公明党の演説場所から徒歩数分の距離にある大阪・道頓堀で反対の声をあげていたのは、れいわ新選組の山本太郎代表だ。グリコの看板を背にして、山本氏はこう叫んだ。

「政令指定都市の大阪市がなぜ特別区の格下げに応じるのか?横綱が小結にって応じます? 政令指定都市、憧れですわ。財源もあって権限もある。わざわざなくして、4つの特別区に格下げするなんてむちゃくちゃだ」

 その横では大阪府警の警官が「とにかく止めろ」と山本陣営のスタッフに詰め寄っていた。

「いや、(中止命令の)根拠を示して」と山本陣営のスタッフが府警の警官に応戦。山本氏によれば、大阪府警が根拠なく、中止せよと命じたという。山本氏は府警の“横やり”にこう怒りを露わにした。

「大阪府警は根拠ないまま中止させようとしている。ここは誰が見ても大阪とわかる象徴的な場所。憲法に表現の自由がある。道路交通法に触れなければ、政治活動は自由にできるはずだ」(山本氏)

 山本氏は衆院解散となった場合、大阪の選挙区から出馬するのではないかと、かねてから噂になっていた。山本氏は直撃にこう答えた。

「衆院解散で大阪から? 出たら面白いね。ここで表明? それはまずいですよ。けど菅首相がやろうとしていることと、維新の政策には親和性がある。弱肉強食がこれまでより強くなる新自由主義。大阪がショーケースにされる、ここで止めなきゃいけないという気持ちはある」

大阪都構想の賛否を問う住民投票の投開票は、11月1日だ。

「前回の住民投票でも最初は維新が勢いづいて賛成かとみられたが終盤で反対が逆転した。まだまだわかりませんよ」(反対する自民党大阪市議)

 2015年の大阪都構想の投票率は68%。昨年、注目を集めた大阪府知事選52%、大阪市長選49%より、都構想の投票率は15ポイント以上も高かった。投票結果は法的拘束力を持ち、賛成票が反対票を1票でも上回れば、
2025年元日から、大阪市は特別区となる。今回も投票率はかなりアップするという予想が多く、最後まで賛成か反対か、激戦が続くとみられる。(今西憲之)

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