11月11日以降、新型コロナウイルス感染者が連日300人台を記録する東京都。12日には新型コロナウイルスの感染状況を評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は「急速な感染拡大の始まり」と指摘した。
【写真】不祥事を起こしても5900万円の退職金をもらった高級官僚はこの人
第3波の到来と目されるなか、東京都で再び休業要請が始まる様子は見られない。小池百合子都知事は11日、報道陣の取材に対し、新規感染者のうち無症状者が3分の1を超えることに触れ、「積極的に検査を受けた結果」「窓を開ける、ドアを開けるなど『冬の新しい日常』を実行していただきたい」などと注意喚起するに留まった。
具体的な補償策に言及がないのには、都の財政事情とも深い関わりがある。東京都が今年2月以降、新型コロナ対策として打ち出した予算は約1兆820億円。財源は「都の貯金」と呼ばれる財政調整基金だが、10月の時点で取り崩しは9345億円以上にのぼり、新たな支援策を打ち出す余裕がない現状がある。
都が「金欠」に苦しむ中、小池百合子東京都知事が今夏の1期目の任期満了にともない、約3500万円の退職金を満額受領していたことが明らかとなった。上田令子東京都議が東京都への事実確認を行い、8月21日付で34,944000円(税控除前)の退職手当を受け取っていたことを11月3日のブログ記事で公表。本誌の取材に対し、総務局人事部制度企画課の担当者も金額、日付に間違いがないことを認めた。
もちろん、退職金を受領すること自体は合法で、歴代の都知事や、他の道府県の知事の多くも受け取っている。この件が報道されると、インターネット上では「退職金を受け取るのは当然の権利」といった声も挙がった。では、いったい、なにが問題なのか。
2016年の都知事選で、小池氏は「東京大改革宣言」というキャッチフレーズを掲げ、都知事報酬の削減を公約に打ち出した。その後、選挙に勝利すると、自身の年間報酬額を半減する条例を成立させたことで注目を集めた。「身を切る改革」は、いわば小池氏の旗印の一つだったはずだ。
退職金を満額受け取った今回の小池氏の姿勢は、こうした方針と矛盾すると上田都議は指摘する。