今年、米寿を迎えたマイクさんはマジックも得意。「ブルドッグ」などカクテル、ウイスキー1000円。わさび醤油で食べる自家製ローストビーフ1800円~。手作りの利尻昆布とカブの漬物500円。税込み (撮影/写真部・今村拓馬)
今年、米寿を迎えたマイクさんはマジックも得意。「ブルドッグ」などカクテル、ウイスキー1000円。わさび醤油で食べる自家製ローストビーフ1800円~。手作りの利尻昆布とカブの漬物500円。税込み (撮影/写真部・今村拓馬)
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常連客から贈られたデッサン画。この笑顔に人々は魅了される (撮影/写真部・今村拓馬)
常連客から贈られたデッサン画。この笑顔に人々は魅了される (撮影/写真部・今村拓馬)
カウンター以外に4人掛けテーブル席もある。一見さんでも馴染みやすい (撮影/写真部・今村拓馬)
カウンター以外に4人掛けテーブル席もある。一見さんでも馴染みやすい (撮影/写真部・今村拓馬)

 今もまだ残る古き良き店を訪ねる連載「昭和な名店」。今回は鎌倉の「マイクス」。

【写真】常連客から贈られたデッサン画

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 神奈川県鎌倉市の小町通りの路地裏で、今年開店55周年を迎える老舗バー「マイクス」。

 ひとりカウンターに立つ、店主の榊原直哉さんは1932年、京都市生まれ。15歳で米軍専用だった琵琶湖ホテルでバーテンダーとして働き、ニックネームに付けられたのが「マイク」だった。その後、伏見や立川の米軍施設で働き、最後の大船PXではクラブマネジャーも務めたという。

 そんなマイクさんは33歳で独立してバーを開店。高度経済成長期の後押しもあり、たちまち人気を得た。冬のある日のこと──。

「お客さんから塩なしのソルティードッグを注文されましてね、アメリカでは“グレイハウンド”と呼びますが、日本人にはピンと来ないので、とっさに“ブルドッグ”ですって言って出したんです」。このカクテルの名がいつしか日本中に広まり、マイクさんは「ブルドッグ」の名付け親になった。

 アメリカ人仕込みだけに、お酒はアルコール度数高めがマイク流。ブルドッグは50度のウォッカに、グレープフルーツの生搾りを合わせる。柑橘の酸味が強いぶん、ウォッカとのバランスが抜群。口の中でとろけるような名物、自家製ローストビーフと一緒にぜひ楽しみたい。

(取材・文/沖村かなみ)

「マイクス」神奈川県鎌倉市小町2‐11‐11かつら小路1F/営業時間:金土日18:30~23:30頃/定休日:月~木

週刊朝日  2020年11月27日号