新聞は新聞週間になると、自分たちの戦争加担への反省を述べる。それは真摯(しんし)な姿勢で。あたしはそこに嘘(うそ)はないと思う。
だとしたら、今回の学術会議問題についてもっと激しく、政府とやり合わないのはおかしい。
学問が独立していなきゃならないのは、科学が軍事利用された戦前の反省があるからだ。そして、今回の件を許したら、学者はおろかあたしたち市民も、国の方針とは違った意見をいいづらくなるのは目に見えている。
よほど、政府が怖いのか。正しい追及もできぬほど。だとしたら、いつかきた道を辿(たど)ってる。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2020年12月4日号