「中継関係者ならあのプレーを見逃すことはない。実際に球が動いている場所以外に細かいドラマが落ちていることも多い。カメラクルーは必ず追っているし、中継ディレクターも何が起こっているのか把握していたはず。球界最高峰を決める舞台でのプレーなので、実況担当としてはしっかり説明する責任はあった。当日の中継全体のミスと言ってもいいかもしれない」(在京テレビ局関係者)
上重アナは高校時代、松坂大輔が在籍した横浜高と延長17回の死闘を繰り広げた。立教大進学後も東京六大学野球のマウンドに立ち、卒業後は日テレへアナウンサー志望で入社。多くの番組を任される同局看板アナの1人だ。しかし野球中継では“巨人寄りすぎる”という声もあり、今年7月31日の巨人対広島戦での実況も賛否が渦巻いた。
「ジャイアンツにアクシデント!」
5回表、巨人・畠世周が広島・会沢翼に頭部死球を与え危険球退場になった場面。上重は死球を受けた会沢のことよりも、畠が勝利投手の権利を得る目前で降板となったことをメインに伝え、ネット上などで上重アナの実況に批判的な意見も目立った。
「丸のプレー時のテレビ中継に関しては、業界内でも大きな波紋を呼んだ。あまりに巨人寄り過ぎる日テレ系中継に嫌気をさした人も多いのではないか。普段のスポーツ番組では他球団選手の良い話も取り上げる。ならば野球中継だけは、かつてのラジオ・文化放送ライオンズナイターのように『巨人びいき』を公言すれば良いと思う」(大手広告代理店関係者)
80年代、ラジオ局の文化放送は当時黄金期を迎えていた西武の試合を中継。その際の売り文句は「はっきりいってライオンズびいきです!」。当時はニッポン放送やTBSラジオに差をつけられていた文化放送の“ウルトラC”だったが、その潔さは逆に野球ファンを納得させたほど。日テレ系も「ジャイアンツ愛あります!」などと打ち出し、徹底的に巨人に寄ったテレビ中継を行えば、また違った反響を呼ぶのではないか。
「第1、2戦の日テレ系と比べて、評価が高かったのが第3戦のテレビ朝日系(テレ朝系)。解説が古田敦也、前田智徳、ゲスト解説が前田健太(ツインズ)と球界のレジェンドがずらりと並んだ。『中村晃の打撃はバットが外から回ってくる』という古田と前田の打撃談議はさすがだった。また第4戦のフジテレビ系(フジ系)も及第点。池田親興、斎藤雅樹という両球団OBに加え、立浪和義が解説。前田健太と川崎宗則もゲストに加わり、副音声では里崎智也と豪華なメンツ揃いでお祭り感満載でしたね」(在京テレビ局関係者)