ソフトバンクの4年連続日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。前評判通り大本命が強さを発揮したシーズンと言えるが、球団ごとに見ていくとそれぞれ収穫と課題があったことは間違いないだろう。そんな中でも現場の最高責任者である監督の手腕についてスポットライトを当て、査定してみたいと思う。今回はパ・リーグの6球団だ。※評価はA~Dの4段階
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・工藤公康監督(ソフトバンク) 評価:A
過去2年間は西武の後塵を拝しクライマックスシリーズで逆転しての日本一だったが、今年は3年ぶりにレギュラーシーズンも制しての完全制覇となった。その大きな要因は12球団でダントツとなるチーム防御率2.92をマークした投手陣だ。ここ数年はリリーフ投手の登板過多による故障が気になったが、今年は高橋礼、泉圭輔、松本裕樹といった若手を中継ぎで起用して厚みを持たせることに成功。先発投手も長いイニングを引っ張る必要がなくなり、大ベテランの和田毅、故障上がりのムーアといった投手の力も上手く発揮させてみせた。野手では栗原陵矢、周東佑京の二人をレギュラーに定着させたことが大きい。これからどう世代交代させていくかという課題はまだ残っているものの、戦力を上手く使い切る手腕は高く評価できるだろう。
・井口資仁監督(ロッテ) 評価:A
西武との激しい2位争いを制してクライマックスシリーズ進出を果たしたロッテ。主砲のレアードと先発の一角である種市篤暉が故障で早々に離脱し、シーズン中に主力の多くが新型コロナウイルスに陽性と診断されて離脱するアクシデントを乗り越えての2位は大きな価値がある。特に目立ったのは若手の抜擢だ。安田尚憲を4番で起用し続け、佐藤都志也、和田康士朗、藤原恭大なども多く経験を積んでチームの戦力となった。また投手陣では経験豊富な吉井理人コーチの存在もあって、中継ぎ陣も上手くローテーションを組んで起用。シーズン途中に沢村拓一をトレードで獲得したことも大きかった。ベテランと若手をどう生かしていくかが今後の課題となるが、チームにとっても井口監督にとっても大きな自信を得たシーズンとなったことだろう。