さらに、AIはその「お仲間」たちが過去にお見合いを申し込んだ男性たちをピックアップする。これが端末上で、《Xさんの好みかもしれない男性たち》としておすすめされる。これにより、自分と好みが似ている「お仲間」が気に入ったのに、個々の条件検索によって漏れてしまっていた男性たちが浮かび上がってくる。
これが第1段階。AIはまだまだ働く。
今度は、この《Xさんの好みかもしれない男性たち》の行動履歴を解析し、彼らと女性の好みが近い男性たちをグループ化する。さらにその中から、先ほどの「Xさんと好みが似ている女性=Xさんのお仲間」の誰かに、過去にお見合いを申し込んだことがある男性をピックアップする。これにより、《Xさんを好むかもしれない男性》がおすすめとして表示されるのだ。
つまり、条件検索では出てこないが、《自分が好むかもしれない男性》に加え、《自分を好んでくれるかもしれない男性》もおすすめしてくれる。世話焼きな友達のように「条件とは合わないけど、この人いいんじゃない?」とAIが「おせっかい」をやいてくれるのだ。
この「おせっかい」がなぜ効果を生むのか。えひめ結婚支援センターの岩丸裕建事務局長はこう話す。
「専門家が行動データを分析した結果、お見合いにたどり着けない男女の大半には、ある特徴がありました。それは『同じ検索条件に固執し続ける』ということです。20代女性にこだわり続ける40代男性、希望年収を少しも下げられない女性、なぜなのかはわかりませんが、ちょっと目先を変えて対象を広げてみようということができないのです。さらに、35歳を過ぎると条件がどんどん厳しくなっていく傾向もわかりました。そうした負のスパイラルの中でいつまでもお見合いに至らず、ついには『婚活疲れ』であきらめてしまう人がたくさんいました。それが、AIを試験運用すると、条件とは違うお相手を気に入る人がどんどん増えていったのです」