政府は来年度から、少子化対策の一環として、人工知能(AI)を活用した自治体の婚活支援事業を後押しすることを明らかにした。なんでも、《希望条件に合わなくても、相性の良いお見合い相手をAIが探し出してくれる仕組み》が特徴らしいが、通常のマッチングと一体何が違うのか。政府も支援に乗り出した「AI×婚活」の意外な“実力”を探った。

【写真】自称・上川隆也や渡部篤郎に会ってみると…オンライン婚活に励む50歳女性

*  *  *

 AIによる婚活支援事業は、2015年3月に導入した愛媛県が先進例として知られる。AIが「希望条件に合わなくても相性の良い人」を見つけることで高い成果を上げたことが話題になり、内閣府や地方自治体、海外からも視察が続いた。現在、愛媛県をモデルケースに採用しているのは18県にのぼる。

 内閣府の少子化対策の担当者によると、現在こうしたAIによる結婚支援事業を活用しているのは25県。若者が都会に行ってしまい、過疎化という難題を抱える県がほとんどだという。

 担当者は、国がこの事業を支援する理由をこう説明する。

「愛媛県などではAI導入後、申込者が実際にお見合いに至った確率が上昇しています。民間よりも利用料金が大幅に安く、自治体の事業なので安心感があるという利点もあります」

 政府が「効果あり」と見込んだこの婚活システムは、一体どんな仕組みなのか。多くの県が導入している「愛媛モデル」を例に見てみよう。

 松山市にあるえひめ結婚支援センターを訪れた女性Xさん(35)。端末に「20代、年収600万円」などと条件を入力し、男性Zさんを見つけて気に入り、お見合いを申し込んだ。だが、Zさんからは見合いを断られてしまった。これで何度目だろう……深く傷つくXさん。

 だが、ここからAIが本領を発揮し始める。

 まず、男性Zさんにお見合いを申し込んだことがあるなど、Xさんと好みが似ている女性を探し出しグループ化する。Xさんと好みが近いであろう女性たちの膨大な行動履歴を解析し、「私たち男性の好み合うよね」と言ってくれそうな「お仲間」を作り上げるのだ。

次のページ
AIによる「おせっかい」が効果