カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー
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イラスト/カトリーヌあやこ
イラスト/カトリーヌあやこ

 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「誰も知らない明石家さんま さんま画商プロジェクト&初父としてのさんまドラマ」(日本テレビ系 12月13日19:00~)をウォッチした。

特番「誰も知らない明石家さんま」 気になる今年のさんま役は??

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 2015年から続く、日本テレビによる明石家さんま接待(?)特番。さんまの名言エピソード集(再現VTRでさんまのものまね芸人ほいけんたが大活躍)とかいろいろある中、ついつい定点チェックしちゃうのはドラマのコーナーだ。

 毎回だいたい旬のイケメン俳優がさんま役。菅田将暉は19歳のさんまの恋愛話。北村匠海は高校時代。斎藤工が大竹しのぶ(剛力彩芽)との結婚離婚を演じれば、成田凌は笑福亭松之助師匠との師弟物語。

 そして今年のさんま役はヤスケンこと安田顕。「子どもたちとの絆を豪華キャストで完全ドラマ化、心のない男・東野(幸治)も泣いた」という煽(あお)り映像が何度も流れる。

 そもそも、え、この人がさんま? てな出オチネタなので、みんな本人に寄せる気ナッシング。ヤスケンも全然、関西弁じゃない。唯一の免罪符がさんま独特の「引き笑い」で、ここだけちょっと押さえておけば「ほぼさんま」というゆるい仕様だ。

 今回「子供たちとの絆」ということで、義理の息子・二千翔役にジャニーズの佐藤勝利、娘のIMALU役で葵わかなが登場。妻しのぶ役は「誰?」と思わず二度見したが、女優の芳野友美さん。

 彼女、「行列のできる法律相談所」の再現VTRで、○○(別所哲也とか佐藤二朗とか)の妻役を数々演じてる「行列」女優。そういえばこの特番、「行列」スタッフが作ってるんだった。

 でもドラマの内容は、「深イイ話」くらいの薄さ。こんなんで「心のない男」が泣くんかーい! と思ったら、東野が泣いてたのはドラマ前の二千翔(にちか)氏(本物)のインタビュー場面だったよ!

 さんまのことを「ずっと一緒にいて育ててくれた本当の父親。自慢のお父さん」て語ったところで、鬼の目にも涙よ。

 それよりも、俳優が演じることで笑い要素が壊滅してるドラマに、フォロー要員として毎回ひょこっと顔を出しては、ギャグがどん滑りしてる東野さん。今回も「何をいう~早見優~」からの「山ちゃんの嫁は蒼井優~」と続けるその雄姿、私の目に涙だよ。

 明石家さんま65歳。ドラマ内のさんまが、本当の年齢に近づいてきたのが気になるところ。果たして次のさんま役は誰なのか。やっぱりもうケンワタナベ(渡辺謙)しかいないんじゃない?

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

週刊朝日  2021年1月1‐8日合併号