時系列で整理すると、議事堂襲撃事件が起きたのが6日、CNNの世論調査は9日から始まり14日に終了、結果は19日に報道された。メラニア夫人のメッセージは同じく19日に投稿された。ここからは推測になるが、メラニア夫人がCNNの調査の結果を報道される前に知っていたととは考えられず、事件で分極化を肌で感じて、最後にお別れのメッセージを残したのかもしれない。
米国の歴代ファーストレディは、夫とは別の視点やアプローチで、その時々の社会問題に取り組むことで知られている。例えば、ミシェル・オバマ夫人は、米国で肥満児が問題となってることから、いわゆる「食育」に取り組んだ。その前の、ローラ・ブッシュ夫人は、パパブッシュの妻のバーバラ夫人同様に、識字率向上のために子どもの「読み・書き」を重視した。
メラニア夫人が掲げたのが児童福祉の「Be best」キャンペーン。10代に蔓延するオピオイド系鎮痛剤の依存問題に光をあてたり、ネットいじめ防止のために毅然と立ち向かう姿勢を示したりして、子どもたちに「最高の自分になろう」と呼び掛けたのだ。写真や映像をみる限り、子どもたちに向けるまなざしは温かく、そのキャンペーンが単なるポーズではないと思わせた。
「ファーストレディの仕事に定義はなく、評価基準もあいまいではありますが、アジェンダとそれに対する姿勢に関しては、一定の役割は果たしたのではないかと思います。ミシェル夫人のようなカリスマ性はないにしろ、それ相応の評価がされてしかるべきでしょう」(前嶋教授)
ちなみに、ミシェル夫人は独自のセンスで“ファッションリーダー”としても一目置かれる存在だったが、モデルだったメラニア夫人もハイブランドの着こなしでは負けてはいなかった。ときには、メッセージ性の強い服装でバッシングの対象にもなったようだが、日本のファッション雑誌のオンライン記事で特集が組まれることもあったほど。関心のある人はずっと注目していたようだ。
夫の言動が前代未聞だったため、手放しで褒められることはなかったメラニア夫人の存在。将来、この4年間が歴史となったとき、意外と高評価を得るのかもしれない。(AERAdot.編集部/鎌田倫子)