日常でもああいうことはありふれています。ホモソーシャルという言葉がありますが、男性には近しい価値観を持った仲間で集い、時に女性や同性愛者を差別することで男同士の連帯を確かめ合う風潮があります。権力性のある集団ほどその圧力が強まるし、権力者に逆らってにらまれたら大変で、集団の中で弾かれないよう、笑って受け流すスキルを身に着けてしまう。その中で自分も知らぬ間に加害者になってしまうこともある。
難しいのはこうした男同士の連帯が強い組織では、トップに立つ人の恩恵にあずかってしまっている人が多く、森さん一人代えたとしても何も変わらないだろうということ。森さんを厳しく批判することはもちろん大切ですが、男性優位社会に生きる男性として「俺はやらない」だけでは済まない。他人事と切り離さず、自分の言動と結びつけて考えていくことが大事なことだと私は思っています。
(構成/編集部・深澤友紀)
※AERA 2021年2月22日号