「お客さまのニーズは多様化しています。いろいろな情報を集められていて、通り一遍の説明では満足されません。金融市場が動けば『すぐ外貨預金がほしい』ということもあります」(三井住友関係者)

 三井住友は大口の富裕層だけでなく、企業を退職した元役員らの“プチ富裕層”にも潜在的なニーズがあるとみる。プチ富裕層は、お手伝いさんや税理士に面倒を見てもらっているクラスとは違って、「健康とか家事とか、身の回りのことで苦労されていることもあります」(別の同行関係者)。

 メガバンクが支店の統廃合を進めるなか、三井住友はフルサービスの店舗を減らしつつも、コンサルティングに特化した“軽量店”を増やして全体の店舗数を維持する戦略をとっている。

「デジタル時代でも『店舗で』というお客さまはいる。インターネットでは解決できない部分もあり、他行などと差別化できる」(同)

 みずほ銀行は、デジタル化に対応して“非対面サービス”を拡充する一方、コンサルティング業務に力を入れる。店頭の手続きはタブレット端末を活用して省力化し、浮いた人員を富裕層を含めた相談などに振り向ける。

 個人預金の規模で、ゆうちょ銀行、信用金庫業界に次ぐJAバンク。農協マネーを集めるJAバンクは、三菱UFJをも上回り、三井住友やみずほの2倍ほどの個人預金の規模になる。

 JAバンク利用者の中核をなす農業従事者は、農林水産省の20年統計で平均年齢67.8歳と高齢化が進む。後継者が見つからないこともあり、広大な農地といった資産の管理・承継が課題だ。大都市近郊の農地などは、その資産価値も巨額になる。JAバンクは「都市部を中心に遺言信託にかなり力を入れており、農中信託銀行が特化してやっている」(JAバンク関係者)。

 遺言信託は近年、金融機関が力を入れる大事な収益源となっている。遺言信託は、公正証書遺言の作成や保管、執行をするのが主なサービスだ。メガバンクや地方銀行などが加盟する信託協会によると、遺言書の保管件数は20年9月末で15万1748件。20年間ほどで5倍超に増えた。

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