皇太子妃・雅子さまの久々の「皇室外交」の行き先は、4月30日に王位継承行事が開かれるオランダ。雅子さまが公務で外国訪問するのは11年ぶり。オランダ訪問は、ご一家で2週間「静養」された2006年以来だ。皇室との交流が深いオランダは、雅子さまにとっても、父で国際司法裁判所判事を務める小和田恒氏が暮らす「ゆかりの国」である。

 もっとも、療養中の雅子さまは今年も園遊会(4月18日)を欠席。ネット上では「オランダには行けるのに…」といった批判的な書き込みも見られた。

 雅子さまが「適応障害」と診断されてから9年。今も「体調の波がある」(今年2月、皇太子さまの発言)状態だ。オランダ訪問の正式決定が式典の直前までずれこんだことが、症状の厳しさを物語る。

 近年、皇太子ご夫妻に対する風当たりは厳しくなっていた。雅子さまが学校生活に悩む愛子さまの通学に付き添われた10~11年には「公務より『私』を優先させている」と一部から批判され、「離婚説」さえ飛び出した。最近でも宗教学者の山折哲雄氏が「皇太子退位論」を発表し、論争が起きている。

 現役時代、自民党内に「皇室問題議員有志懇話会」をつくった村上正邦元参院議員は語る。

「かつて園遊会や御所で天皇、皇后両陛下にお声をかけて頂いた感動は今もありありと覚えています。国民の代表が招かれる園遊会は大切な行事なのです。本来、皇室は公で『私』がない存在。雅子さまのご病気が長引き、国民にお顔を見せない状況が続くのは、日本国の伝統の中心である皇室のためにも心配です」

 一方、精神科医で著書に『雅子さまと「新型うつ」』がある香山リカ氏は、こう指摘する。

「適応障害から立ち直るには、小さな成功体験を重ねることが重要です。訪欧という形で環境を変えることも有効だと医師団が判断したのではないでしょうか。ただ、皇室にいらっしゃる限り環境変化には限界があります。オランダで元気に振る舞われても、帰国後にお疲れが出る可能性もあるでしょう。過度の期待がご本人のプレッシャーになることもあります。長期的な視点で見守ることが必要です」

AERA 2013年4月29日号

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