■リベラルアーツ部門『LIFESPAN(ライフスパン)』

 リベラルアーツ部門賞を受賞した『LIFESPAN(ライフスパン)』(デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント、梶山あゆみ訳、東洋経済新報社)は、『ライフ・シフト』の大ヒット以降定着した、「人生100年時代」という言葉が現実になることを確信させてくれる一冊だ。

 著者は、「老化は病気の一種であり、それは治癒できるものである」と断言する。そして、老化を止めるために何ができるかや、人間の寿命が延びることでこの世界に何が起こるかが解説されている。

 本書への注目の高まりは、「大切な時間をより良く生きること」が、今まで以上に大きなテーマとなっていることの表れともいえるだろう。

■ビジネス実務部門『本当の自由を手に入れる お金の大学』

 ビジネス実務部門賞は、『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長、朝日新聞出版)が受賞。YouTubeチャンネル登録者数70万人、動画再生回数1億回超えと、SNSを中心に熱狂的な支持を得ている著者による、お金の基礎知識を詰め込んだ一冊だ。

「私たちの豊かな生活を、いかに守っていくか」。コロナ禍において、多くの人が抱いた問題意識にぴたりとハマった一冊と言えるだろう。

■[特別賞]コロナ禍を支えたビジネス書『人は話し方が9割』

 働き方が大きく変わったこの1年、同僚とのコミュニケーションに悩んだビジネスパーソンも多かっただろう。そんな悩みから注目され、多くの人を救った一冊が『人は話し方が9割』(永松茂久、すばる舎)だ。ビジネス書グランプリ2021では、特別賞「コロナ禍を支えたビジネス書」として選出。相手を思いやったコミュニケーションの大切さを教えてくれる良書である。

■キーワードは「当たり前からの変化」

 今年受賞した作品に共通するキーワードは、「当たり前からの変化」だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、この時代を生きる私たちにとって、経験したことのないものであった。未曾有の出来事に直面し、生活やビジネスは大きな変化を余儀なくされた。

 今回の「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」では、そのような変化にもまれる私たちを支えてくれるビジネス書が注目を集める結果となった。全国950を超える書店で、受賞作のフェア展開も始まっている。手に取って、本から学びを得てほしい。

(flier編集部)

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