ビーチバレーボールといえば、灼熱のビーチをダイナミックに舞うスポーツ。小麦色の肌に身を包む選手たちのはじける汗とその笑顔はいつも眩しい。かつて、『ビーチの妖精』と呼ばれた浅尾美和が一躍このスポーツをこの世に広めた。しかし、浅尾が引退した現在でも妖精に負けない光り輝く個性を持つ若き『ビーチの女神』たちは存在する。4回に渡ってビーチの女神の武器とその横顔を紹介する連載の第2回目(第1回は鈴木千代)。
運や実力のよしあしを判断するときに、「持っている」、「持っていない」という表現することがある。ビーチバレー界でも「持っている」選手はいる。たびたび運を引き寄せ、確実にトッププレーヤーの階段を上っている。それが今回紹介する坂口由里香(大樹グループ)、26歳である。
今から7年前。坂口のジャパンツアーデビューは衝撃だった。2014年の秋、青山学院女子短大2年時に石井美樹(現日本代表、荒井商事/湘南ベルマーレ)と、『JVAビーチバレーボールシリーズA坂大会』(現ジャパンツアー)に出場した。2人とも初めてのトップツアーだった。予選から出場した坂口・石井組は、石井の鋭いサーブと坂口の攻守に渡るテクニックが光り、あれよあれよと予選、本戦プール戦を突破した。準々決勝も格上のチームとフルセットゲームで渡り合い、堂々のベスト4入りを果たしたのだ。
「奇跡が重なって初めてのツアーで3位になりました。ダークホースとも言われたし、よくがんばったなぁと余韻に浸りたかったんですけど、新幹線の中では一睡もすることなく、ひたすら美樹さんと反省会でした(笑)。美樹さんは今と同じで当時からストイックで、同じコートの中にいて勉強になりましたね。結果を残すことができたから、一緒にやってきたことが合っていると思えました」
坂口は実は小さい頃から、「かっこいよくてきれいな」キャビンアテンダントになりたかった。就職活動も、航空会社を中心にまわっていた。けれども、「ビーチバレーと出会ってからはまわらなくなりました(笑)。あんなに10年以上も憧れていた職業だったのに一瞬で興味がなくなりました」。