もしかしたら今後、夫婦間で男女の役割が逆転する時代が来るかもしれない。男性が中心となって活躍していた建設業や製造業が細り、一方で成長分野の医療・福祉の就業者数は8割が女性。これからは男性も家庭進出をめざしてもいいのではないだろうか。
結婚情報サービスのオーネットの調査(2009年)によると、「専業主夫でもかまわない」という20代男性は62%。30代では69.4%もいる。
ただ、女性はまだ「主夫」を歓迎しない。資格講座のユーキャンが行った10年の意識調査で、独身で働いている女性の半数以上が「結婚・出産後は専業主婦になりたい」と答えた。
婚活の提唱者で、少子化問題にも詳しいジャーナリストの白河桃子さんは、こう言う。
「シングルマザーだって苦しいのに、大人の男一人を食わせるとなると、相当、魅力的で優しい人でないと受け入れてくれないでしょうね」
さらに、こう付け加える。
「女性はダメな男を見抜く鋭い才能がある一方、お金を愛に変換できるので、稼げる男をつかまえることもできる。でも男は妻の稼ぎを愛情に変換する能力がない」
バリ島に近いジャカルタ在住の経験がある白河さんは「モテる主夫になるための研修先は、やっぱりバリ島でしょうか」と言う。
日本の男社会でバリバリ働き、お金は貯めたが、疲れ果ててリフレッシュにくるキャリア女性がたくさん。真っすぐに求愛するバリの男たちは、疲れたキャリアウーマンを「私は女の子だったんだ。こんなに幸せなんだ」という気分にしてくれるというのだ。
暗くて細い道を通るときは、女性の後に立ち背後を守り、ライトで前を照らす。ちょっとした貝殻を一つ渡すと彼女は「彼、一日中私のこと待っていてくれたの」と感激してくれる。「実は暇つぶしに海辺でブラブラし、ポケットに入れた貝」だとは言わなくてよい。
※AERA 2013年5月20日号