高倉監督のチームは、これまで同格以上の相手を求めながら、敵地での武者修行を軸に活動を続けてきた。その結果、守備は整備されていったし、強豪国と接戦も演じた。一方で、必死に食い下がる格下から、なかなか点が取れない傾向もあった。底力で相手を振り切ったアジアの戦いや、女子W杯フランス大会のアルゼンチン戦(△0対0)がそうだ。

 東京オリンピックの開幕戦まで100日を切り、女子サッカーの組み合わせ抽選会は、4月21日に行われる。FIFAランキングと地域バランスを考え合わせると、日本は、スウェーデンかイギリス、ブラジルかカナダと同居することになるだろう。いずれもFIFAランキングでは、日本よりも上位にいる。一方で、下位に位置するニュージーランド、チリ、ザンビアのいずれかも、同じグループに入ってくるはずだ。落とせないゲームをしっかりモノにできないチームが、上に進むことはない。

「国際試合でFIFAランクの高いチームと対戦する機会は、何物にもかえがたい経験ではあるんですけれども、(本大会での対戦相手の強さを)全員が理解して、鹿児島合宿からひとつひとつのプレーに対して100%のプレーをしてくれました。ちょっとしたミスであったり、食い違いであったりというものに関しても、みんなで真摯に話し合いをしていました」(高倉監督)

 そう口にする指揮官を含めて、強豪との対戦機会が得られない中で「今、できることは何か」と、ひとりひとりが自分自身にベクトルを向けている。新装・国立競技場で、今度はオリンピックの決勝戦を戦うために。(文・西森彰)

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