「今年の入場者数をもとに計算していますが、コロナ前の2019年シーズンであれば5球団で約50億円もの損失を被ったと考えられます。つまり、コロナさえなければそれだけ大きな収入があったということなのです。私が住んでいる大阪の状況を見ても、感染がそうそう収まるとは思えず、5月11日以降も無観客が延長したり、他の球場にも適用される可能性はあると思います。昨年は全球団が赤字だったと推定していますが、このままでは2年続けて大赤字になってしまうでしょう」(宮本名誉教授)

 宮本名誉教授によると、2019年の1試合平均の観客動員数は、巨人阪神は4万2000人を超えていたが、今季は巨人が1万2000人ちょっと。阪神は8000人を超える程度。大打撃の中で、さらに無観客を強いられた形だ。

 球界はJリーグとともに、専門家を交えた会議を定期的に開催してきた。球場内での感染防止策のほか、選手らに定期的にPCR検査を行うなど、知見に基づいた対策を講じてきた。昨シーズンを含め、球場内での観客のクラスターは出ていない。

 球界からは疑問の声が噴出しており、斉藤惇コミッショナーは24日のオンライン会見で、政府や自治体に補償を求める考えを示している。

 宮本名誉教授は、「プロ野球への補償を認めると、他のスポーツなども対象になってきます。補償はしないか、あっても百貨店などと同様に、なけなしの『協力金』にとどまるのではないか」としてこう続ける。「政府や都は、東京五輪開催が最優先。もし今後、東京五輪の無観客開催が決まった場合、その時点で『五輪は無観客と決めたのに、国内のプロ野球や他のスポーツは観客を入れたままでいいのか』などと、さらなる影響を受けないかを懸念しています」

 まずは、5月11日で無観客開催が終わることを祈るばかりだ。(AERAdot.編集部・國府田英之)