Q)仕事を休めないのですが、治療後、日常生活に復帰するまでどれぐらい時間がかかりますか?

A)数日で復帰可能なものもありますが、職場にも協力してもらうよう相談を

 最近のがん治療では、早く社会復帰するように勧められます。

「手術の場合、早期にリハビリを始めると回復が早いので、合併症などがない限りは極力早く日常生活に戻ってもらいます。私の専門の肺の手術では、基本的には1週間程度で退院できます。仕事をすることはいい意味で緊張感があり、治療にもよい効果があります。一方、大きな手術ですぐに退院できないときは、このタイミングでこんなことから始めましょうと患者さんと相談します」(坪井医師)

「胃がんや大腸がんの内視鏡手術なら早ければ2、3日で社会復帰できるものもあります。もう少しからだの負担が大きい手術でも、手術だけであれば長くても数カ月で社会復帰できると思います。放射線治療は長いと1カ月半程度かかる場合もありますが、1回の治療の所要時間は短く、通院で可能な場合が多いです。薬物療法も、治療しながら社会生活を送ることも可能ですが、吐き気や疲労感で仕事をするのがつらくなる場合があります」(加藤医師)

 休みを取ったり業務内容を変えてもらったりするなど職場の協力を得る必要があるので、上司や同僚にはがん治療を受けていることを伝えておくのが望ましいでしょう。

Q)医師から手術を勧められました。ほかにも治療法があるようですが、本当に手術でいいのでしょうか?

A)手術ができることは朗報。その後の人生のことも考えて選択を

 がんの手術は大変そうだからと、ほかの治療法を望む患者もいます。しかし中川医師は「手術ができるということは、完治する可能性があるということです。少なくとも生存期間を延ばせるはずで、患者さんにとっては朗報です」と話します。

 ただどんな治療が最良かは、患者自身の価値観や生活環境によっても異なります。

「手術を避けて別の治療をした結果、経過が思わしくなく、後で大変な手術が必要になることもあります。一方で手術は痛みを伴うほかに、呼吸機能が落ちる、食事が進まなくなるという合併症が起きる場合もあります。その後の人生がつらいものになってしまうのでは意味がありません。そのメリットとデメリットを把握して納得できる治療を選びましょう」(坪井医師)

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