昨年、大晦日にさいたまスーパーアリーナで開催された「Yogibo presents RIZIN.26」で再起戦の相手となる弥益ドミネーター聡志に、打撃で圧倒して1ラウンド 4分20秒のKO勝ちを飾った。ただ、「朝倉強し」とは印象づけられない。求めるレベルはもっと高いからだ。
朝倉は4月下旬に、日本人初のK-1 WORLD MAX世界王者・魔裟斗とYouTubeの動画でコラボしている。魔裟斗は「打撃のセンスがある」と評価した一方で、「練習は走りも筋トレもしないらしいですね。ミット打ちも無し? スパーだけ?それでよくスタミナが持ちますね」と練習内容に言及。「今28歳ですよね。30歳で辞めると言っていて、伸びしろだらけなのになって…。だってまだ本気でやっていないんで。走ってもいないし、俺から見ると、まだまだ強くなる要素がいっぱいあるからもったいない。潜在能力の50%くらいしか出していないんじゃないかなって。本気で練習して、それこそアメリカへ行って、外国人を倒していくのがカッコいいんじゃないかな」と対談の中で朝倉に問いかけていた。
魔裟斗の厳しくも愛情のこもった助言は心に響くものがあったのだろう。朝倉はラントレ、ミット打ち、フィジカルトレーニングを新たに練習メニューに組み込み、YouTubeの更新頻度も減らしていた。だが、現実は残酷だ。その野心は木っ端微塵に打ち砕かれた。
ある格闘家は「本気で練習して1、2カ月で結果が出るなら苦労しない。過酷なトレーニングを継続して結果が出るのは1、2年後。もっとかかるかもしれない。それだけの練習をしてもなかなか勝てない。裏を返せば、あまり練習をせずにセンスと相手の分析に長けた能力でライジンのトップに上り詰めた朝倉未来は本当の天才です。ただそれだけでは世界のトップにはいけない。彼らは24時間格闘技を考え、練習に打ち込んでいる。成功すれば人生が変わるからハングリーなんです」と語る。