14年には国連の自由権規約委員会が、在留管理局の施設に収容する場合には独立した審査が必要だが、それが欠如している、と強く批判し、是正を求めたが、入国管理局(当時)はそれを認めなかった。
さらに、警察が人間の罪を問うて自由を奪うためには、裁判が行われなければならないのだが、入国管理局の場合は自由裁量でできてしまう。つまりチェックする仕組みがないのである。
そして、日本は難民認定率が国際社会に対して極端に少ないのである。米国、フランス、ドイツなど海外の先進国では、難民認定率が20~50%で、年間に数万人の難民を受け入れているのだが、日本の難民認定率はわずか0.4%で、19年には1万人超の申請に対して、44人しか認定されていない。野党各党は難民認定率を国際基準並みにせよ、と強く求めている。
こうした問題について、自民党の元厚生労働副大臣の木村義雄氏に問うと、「スリランカ人女性のビデオ映像は開示されるべきです。ただし、難民認定率を国際基準並みにするのは、イギリスなど欧州諸国、そして米国でも自国民の失業が増えるというので大問題になっていて、この点は慎重にやるべきです」と語った。
絶えない入管施設での死亡事案は到底看過できず、ブラックボックス化は許されない。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2021年6月25日号