田原総一朗・ジャーナリスト (c)朝日新聞社
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イラスト/ウノ・カマキリ
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 ジャーナリストの田原総一朗氏は、人権侵害を指摘され続ける出入国在留管理局の問題点を指摘する。

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 3月に名古屋出入国在留管理局の施設で、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が死亡した事案についてである。

 遺族も野党も、女性が死亡に至るまでの過程で逐一記録されているはずの監視カメラのビデオ映像の開示を求めているのだが、政府(法務省)と自民党はかたくなに拒んでいて、それが国会で大論戦となり、改めて日本の入管行政が厳しく問われることになった。

 その女性は日本語を学ぶために日本に留学してきたが、学び続ける資金がなくなって、その時点で日本に在留する資格を失った。ところが恋人ができて、その男性と暮らしていたのだが、男性の暴力に耐えられなくなって、警察に訴えたら、在留管理局の施設に入れられてしまったわけだ。

 在留管理局の施設の待遇は相当悪く、1997年以降、死亡事案が20件以上発生しているのである。24時間監視カメラで見張られていて、刑務所よりも悪い待遇だとも言われている。

 その女性の場合、体調を壊して、診察した医師が「仮放免」を勧めたようだが、在留管理局はそれを認めなかったのである。

 実は、在留管理局の収容者への対応については、20年以上にわたって国連などから人権侵害を指摘され続けて、再三の改善勧告を受けているのである。

 入管に収容された外国人の死亡が繰り返し起きるのは、入管施設で甚だしい人権侵害が繰り返されているからではないのか。

 2018年の安倍内閣のとき、働く人材が不足しているので、外国人の労働者を一定数受け入れることになった。ところがこのとき、政府は「移民ではない」と強調しているのである。たとえば、入国した人物が病気になっても、日本人に行われているような医療保護は行わない。そして、結婚している妻が母国にいても日本への入国は認めない。言ってみれば人間扱いをしないということである。

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