■「兆候」を見逃さない

 厚生労働省の「診療の手引き」によると、「軽症」は肺炎のない状態だ。高熱でも肺炎がなければ軽症だ。中等症は2段階ある。肺炎が起きて呼吸機能が落ち、呼吸機能を示す血液中の酸素飽和度が96%未満ではあるものの、酸素投与が要らないなら中等症I、酸素飽和度が93%以下で酸素投与が必要なら中等症IIだ。

 自宅療養で大切なのは、重症化の兆候を見逃さないことだ。ただし、自覚症状では判断が難しいと、鈴木室長は指摘する。

「息苦しさの感じ方には個人差があります。特に新型コロナウイルス感染症では血中酸素濃度が低くても息苦しくならない患者さんがいます。その一方、不安が強いなどの理由で、血中酸素濃度は低くないのに息苦しくなることもあります」

 このため、呼吸機能がわかる「パルスオキシメーター」で1日に何回か血中酸素濃度を測るといい。自治体により異なるが、93~94%以下になったら保健所などに相談しよう。この機器は自宅療養の際に貸してくれる自治体が多い。

 また、自宅療養中には脱水症状にならないよう意識して水分を補給し、栄養もとろう。嗅覚や味覚の障害が起きて食欲が低下することもあるが、栄養が不足すると体力が低下し、回復に時間がかかってしまう。

 自宅療養中の感染者や家族の注意点について、神奈川県や埼玉県などの自治体がわかりやすいパンフレットをネットで公開している。自治体名と「コロナ 自宅療養」で検索すると見つかる。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年8月16日号-8月23日合併号

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