日常生活をちゃんとしたい。ちゃんと生きたい。自分の気に入った器でゆっくりお茶を飲む、そんなひとときを大事にしたいと緑子さんは言う。

「家に帰れば家族がいるので、家族が幸せだというときに、自分も幸せを感じられればそれでいい。芝居はその次かな。ちょっと捨て鉢な感じもありつつ(笑)、地味に、着実に生きていきたいです」

 そう言いながらも、「私たち役者は、一番“人間”をやらなきゃいけないから。人生に対する思いもまた、芝居に生かせちゃったりする。そこが、役者のズルくて面白いところなんですけどね」と言って、茶目っ気たっぷりに笑った。(菊地陽子 構成/長沢明)

キムラ緑子(きむら・みどりこ)/1961年生まれ。兵庫県出身。同志社女子大学卒業後、劇団「M.O.P.」の旗揚げに参加。主宰マキノノゾミ作品を中心に、2010年の解散まで看板女優として活躍。00年頃から映像にも進出。13年、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」でヒロインの義姉を演じ注目される。出演ドラマ「白い濁流」(NHK−BSプレミアム)が22日からスタート。

週刊朝日  2021年8月20‐27日号より抜粋

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