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菅首相の電撃的な総裁選不出馬表明、退陣のニュースが9月3日、駆け巡った。そして測ったように、河野太郎ワクチン担当相が総裁選に出馬する意向が大々的に報じられた。
「絶妙のタイミングで河野氏は、マスコミに情報を流したね。狙いすましたようだ。こうも段取りよく出馬を言えるものかな。早い段階から菅首相から辞意を聞いていたんじゃないか」
自民党幹部はこう首を傾げる。菅首相と河野氏、そして小泉進次郎環境相は同じ神奈川が選挙の地盤とあって、緊密な関係だ。小泉氏は5日連続で菅首相と官邸で面会している。3日の会見で小泉氏は「首相から引くと聞いたのは今朝」「首相の花道を作りたい」と涙ぐんで話した。しかし、自身の総裁選出馬には言及しなかった。
河野氏とすでに総裁選出馬を表明している岸田派の岸田文雄会長以外で候補者として名前が出ているのは、石破茂元幹事長、高市早苗前総務相、茂木敏充外相、野田聖子幹事長代行らだ。
「小泉氏は『菅首相ほど1年間で仕事をした人はいない』とねぎらったが、幹事長就任の求めを断った。目玉人事の引き受け手がなく、菅首相は辞任に追い込まれた。小泉氏は菅首相の政策を一定、引き継ぐ人物が次の首相になるべきだという趣旨の発言をしている。それに適任なのは、河野氏だと聞こえましたね。これまで総裁選に消極的だった河野氏が一転して出馬に舵を切った。小泉氏からも支援を取り付けた上で河野氏が動いたという噂で持ち切りだ。普段は取り巻きから耳障りよい話しか聞かない菅首相が5日間も続けて、小泉氏と話し込んだ。小泉氏が”隠密”になれば、河野氏は菅首相の意向を把握できますからね」(前出・自民党幹部)
河野氏は3日午後、所属する派閥のボスである麻生太郎副総理兼財務相と手際よく、会談した。総裁選出馬の了解を取り付けようと動いている。
「菅首相は関係が深い河野氏、小泉氏なら溝が深い岸田氏や石破氏より安心して政権を渡せる」(官邸関係者)