17日に告示された自民党総裁選(29日投開票)は、いよいよ候補者同士の論戦がスタートした。その舞台は、テレビや記者会見だけではない。実は書店の場でも、候補者の著書が“デッドヒート”を繰り広げている。特に好調なのは、高市早苗前総務相の著書だ。9月15日の発売以降、万単位での重版を重ね、“河野本”に2倍以上の部数差をつけている。実売でみても、アマゾンの総合ランキングで1位が続き、若い女性層にも売れるという政治本では異例の展開をみせている。なぜこれほどまでに売れるのか。実態を取材した。
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候補者の著書の中でとりわけ売れているのが、高市早苗氏の『美しく、強く、成長する国へ。―私の「日本経済強靱化計画」―』だ。出版社は、雑誌『Will』などを発行する株式会社ワック。同社の出版局長は、「爆売れです。当初の想定をはるかに上回る。ここまで売れるのはびっくりです」と喜びを口にする。
アマゾンでは発売前から予約が相次ぎ、9月5日から総合ランキング1位。22日時点まで、一時的に2位に下がることはあったが、ほとんどの期間で1位が続いている。
「アマゾンの総合ランキングで1位を2週間も続けている状態は、日本中で今一番売れている本だと言っても過言ではないと思います。書店には店頭在庫を行き渡らせるようにしていますが、アマゾンの方では配達までに時間がかかるケースもありました。注文が一気に集中して、さばききれなかったのだと思います」(同)
22日16時時点でも、高市氏の著書は1位をキープ。一方、8月27日に発売された河野太郎行政改革相の著書『日本を前に進める』(PHP新書)は74位。発売日にずれがあるとはいえ、売れ行きは高市氏が突出している。
リアル書店ではどうか。書店の展開では、高市氏の著書が発売される9月15日以前までは、河野氏の「一強」だった。ほかの候補者では、岸田文雄前政調会長が昨年9月に出版した『岸田ビジョン 分断から協調へ』(講談社)や、野田聖子幹事長代行が2018年に出した『みらいを、つかめ多様なみんなが活躍する時代に』(CCCメディアハウス)があるが、発売から月日がたっていることも影響しているのか、河野氏には及ばない。