※写真はイメージ (c)朝日新聞社
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 新型コロナワクチンの接種が進むなか、ある学校の生徒が「ワクチンを打った後に亡くなった」というデマがSNSで拡散され、真実だと思い込んだ人たちが名指しされた学校に抗議の電話やメールを送る事態が起きた。教員らは対応に追われ業務に支障が出た一方で、投稿した当事者からは訂正も謝罪もなく、学校関係者からは怒りの声が漏れる。

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 SNS上に、兵庫県内の私立高校の生徒がワクチン接種後に死亡したとの書き込みがあったのは9月17日ごろ。「コロナワクチンを打った高校生にはすでに死亡者が出ている」「マスコミで報道されていない。無論、報道規制である」などと書いた上で、学校の実名を記し、接種後に生徒が亡くなったとする他人の投稿を引用し、事実かのように紹介した。

 書き込んだのは兵庫県内でクリニックを経営する医師とみられる。この医師はかねてSNSなどで、ワクチン接種の危険性を繰り返し訴えていた。

 名指しされた私立高校の担当者に、ワクチンを接種した生徒が死亡したのは事実かと聞くと、開口一番、「事実ではありません」と明言した。念のため、「ワクチンを接種した生徒がその後亡くなったという事実はあるが、死亡との因果関係が不明ということか」と尋ねると、「接種した生徒が死亡したという事実がないということです」と明確に否定した。

 完全なデマを流されたということだが、3連休が明けた21日以降、高校や系列の小学校などにも抗議の電話やメールが数十件来たという。

「教員らは授業の合間などに対応に追われ、業務に支障が出ました。本当なのか不安に思って問い合わせてきた方もいましたが、書き込みを信じ切って、かなり強い言葉を使われる方も多くいらっしゃいました」(担当者)

 学校側は書き込んだとみられる医師に対し、内容の訂正などしかるべき対応を求めたが、

「内容の訂正や投稿したことについてのお詫びをするしないという以前に、『そのような事実はない』という学校側の説明自体を認めようとしてくれませんでした。そうした経緯がありまして、9月29日に学校のホームページ上で、事実ではないということを公表するに至りました」(同)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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