衆院選公示日の10月19日、自民党の前幹事長、二階俊博氏は和歌山3区、生まれ故郷、御坊市の出陣式でマイクを握った。
事務所前には500人を超す人が集まり、和歌山県の仁坂吉伸知事をはじめ、地元の市長や町長などが顔をそろえて、二階氏を待っていた。
壇上にあがった二階氏は、5年以上、幹事長など党の要職にあったため、ほとんど地元には帰れなかったという。今回は地元中心の選挙戦となる。
二階氏はシンボルキャラクターのうさぎのイラストを示してこう力を込めた。
「しっかり頑張れと温かいお気持ち、感動の一言です。シンボルマークの通り今年はウサギ年。ウサギはバックできない動物です。腹の中では俺はウサギだ、バックはできないぞと戦いに挑んでいます。あえて戦いと言うわけですが、政治は戦いなんです」
まだまだ健在だと言わんばかりに熱く語った。だが、出陣式に来ていた地元の地方議員はこう話す。
「二階先生を入れて4人も出馬というのは、ひょっとして将来のためなどの思惑があるようです。それだけ二階先生のパワーも落ちてきたのかな。岸田首相に幹事長から降ろされてしまったしね」
また、二階氏を長く支援をしている、有権者はこう語る。
「うちは娘の名前まで二階先生につけてもらったほどで、応援しちゃるよ。コロナも影響あるのでしょうが、これまでの出陣式ならこの3倍、1000人以上は来ていたのでさびしいね」
「今回が最後の出馬でしょう。引退興行でしょうから、しっかり二階先生の姿を目に焼き付けようと来た」(別の有権者)
永田町でも二階氏をとりまく状況は厳しい。二階氏が幹事長を降りると、衆院選の公認争いでは、山口3区で官房長官、文科相を歴任した河村建夫氏(二階派)が元防衛相の林芳正氏(岸田派)に公認争いで敗れて引退した。河村氏の後継、長男の建一氏は中国ブロックではなく、北関東ブロックの比例32位だった。
新潟2区は安倍晋三元首相が実質的に率いる細田派の前職、細田健一氏が小選挙区から出馬となり、二階派の前職、鷲尾英一郎氏は公認争いに敗れ、比例にまわった。