ジャーナリストの田原総一朗氏は、立憲民主党の議席減について論じる。
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今回の衆院選挙だが、私が投票日の前日に、日本を代表する新聞社やテレビ局の幹部から得ていた情報では、自民党が50以上議席を減らすということであった。
要因は、安倍晋三・菅義偉政権の遺産を岸田文雄内閣がそのまま引き継いでいると捉えられていたためであった。
そして、立憲民主党・共産党の共闘は功を奏し、かなり議席を増やすのではないかと見られていた。
ところが選挙の結果は、自民党では甘利明幹事長(当時)や幹部である石原伸晃氏などが小選挙区で落選したものの、261議席と単独過半数を確保した。いわば、岸田内閣は国民から信任されたのである。
それに対して、立憲民主党は109議席から96議席に減らしてしまい、枝野幸男代表は「私の力不足で心からおわび申し上げる」と語って、辞任を表明した。その前に福山哲郎幹事長も辞任を表明している。
立憲民主党は2017年、当時の民進党が希望の党との合流をめぐって、小池百合子東京都知事に、枝野氏などリベラル派は排除すると宣言されて自立せざるを得なくなり、結果として野党第1党となった。
昨年9月には国民民主党との合流を目指したが、立憲民主党の原発政策などに民間労組出身議員たちが反発して、合流は成功しなかった。
私は昨年1月、枝野代表に次のように主張した。
「野党の国会議員たちは自民党の政策を批判していれば当選できるのでそれ以上何も考えない。これでは国民の多くが野党に政権を取らせようなどと期待しない。そして野党が弱すぎるために、自民党の幹部も議員も神経がたるみ、安倍政権の後半にはスキャンダルが連発した。それでも選挙で勝ってしまう。日本政界の一番の問題は緊張感がないこと。だから、立憲民主党を中核として、野党が経済ビジョンを構築すべきだ」
しかし、まだそれは構築できていないようだ。