パトリック・ハーランさん(撮影/写真部・加藤夏子)
パトリック・ハーランさん(撮影/写真部・加藤夏子)

 日本の歴史で序盤に登場する「弥生時代」。時代の特徴である稲作文化自体パックンの母国であるアメリカ合衆国にはほとんどなく、なかなかなじめない時代にも思えるが、パックンさんは「タイムワープ」でその面白さを知った。

「マンガのストーリーで読むと、コメが争いごとのもとになったり権力の端緒になったりしたことが面白く理解できる。歴史は人間がかかわっている、ドラマ性があるものだということに気づかせてくれます」

「タイムワープ」シリーズにはマンガ以外にもより学習内容を深められるコラムのページも充実している。

「ぼくはコラムのページを中心に読みますね。大人が読んでも『そうなんだ』とか『えー、マジですか!』という驚きがある。知ったら明日誰かに話したくなるようなネタがたくさんあります」

 歴史を学ぶ意義について、パックンは「子どもたちも含めて、私たちは『当事者』だからです」と語る。

「私たちは国の方向性を決め、ターニングポイントをつくれるのです。そして、国の行く末を決めるためには、この国がどういう過去を歩んできたかを知らなければいけません。スポーツをやる人はコーチから教わったり、うまい人を真似したりする。人間の文化、文明はどうすればよりよい方向に進められるのか、我々は歴史と言うコーチの言うことを聞かなければいけないと思うんです」

 私たちを導くコーチとなってくれる歴史に興味をもつきっかけとして、「タイムワープ」シリーズなどの歴史マンガは最適ではないかとパックンさんは強調する。

「そこから歴史に興味を持ってもらえれば、マンガから卒業しても歴史に対する興味、関心、愛は変わらないと思います。親にもぜひ読んでほしいですね。子どもが何に喜んでいるかを知ることができるし、知らなかった事実を知ることもできる。家族間のコミュニケーションにもつながります」

 タイムワープシリーズは基本的に日本の歴史をあつかってきたが、2021年11月には世界史をテーマにした「歴史人物バトル」編もスタートする。世界史に登場する有名人物が未来の小学校に召喚され、日本史を彩る英雄たちと「かくれんぼ」や「障害物競走」といった競技で対決する――というストーリー。知力、能力をフルに使って対決に挑む歴史上の人物たちのストーリーから、その人物のキャラクターやエピソード、歴史上で果たした役割などが身につくしかけだ。1作目はナポレオンやジャンヌ・ダルクが登場する「フランス編」、来年1月刊の2作目はワシントンやエジソンが登場する「アメリカ編」となっている。

「いまはグローバルな時代。世界を相手にしていく中で外国を知らないと不利になりますし、そのためには世界史を知る必要があります。『タイムワープ』シリーズでも世界史を取り上げてほしいと思っていましたし、かゆいところに手が届いた感じですね」(パックンさん)

(ジュニア編集部・福井洋平)

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