2人の同居が決まった時、うれしさのあまり江里子は言う。「私たち一生一緒にいようね。天寿をまっとうするまでよろしくね!」。うんざり顔で答える美穂。「聞いてるだけで寿命が縮みそう」
四六時中顔を突き合わせているため、夜ごと悪夢を見てしまう美穂。部屋の壁という壁に江里子の顔が浮かびあがり連呼する。「美穂さん!」
女優が全力で演じるから、ヤバさの切れ味がすごい。そして細かな行き違いがありながらも、最後はやっぱりコンビである2人。何かこれは新しい家族のカタチ。おひとり様同士のおふたり様だ。
このドラマを見ながら、テレビ東京がドラマ化した「きょうの猫村さん」を思い出した。どちらも何か起こったような起こらないような、やさしくノスタルジックな日々。
のほほんとした暮らしにまぎれこむ猫をかぶった松重豊や、阿佐ケ谷姉妹をかぶった多江と玉恵。日常の中にカラッとした狂気を振りまく非日常なもの、そんなドラマだ。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2021年12月3日号