アミナは頭の堅い官僚に辟易(へきえき)したが、野田聖子の言葉を思い出した。
「法律を作るのが政治家。法律にのっとって実務を遂行するのが行政。彼らにゴールを見せて動かすのが民間の役割」
日本のフェムテック市場が2兆円規模になれば、霞が関も動くだろう。まずは吸収ショーツを全国の女性に、生理用品として普及させる。
タブーが変わる日まで
10月22日からの3日間。フェルマータは東京・六本木でフェムテック商品の展示・体験をするイベント「フェムテック・フェス 2021」を開いた。世界6地域、27カ国、157社もの製品を集めて展示した。
「生理前になると子どもたちにイライラ」「今妊娠したいと思っていないけど、今後妊娠できるか不安」。そんな女性の悩みを書いた白いバルーンが浮かぶ会場を訪れた来場者は、海外製の製品を手に取り、従業員の説明を楽しげに聞いていた。
「私たちの仕事ってさあ、タブーをワクワクに変えることだよね?」
3人でおしゃべりをしていた時、カナがそうつぶやくと、2人は「それだ!」とひざをたたいた。
「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」
それが会社のビジョンになった。3人の進撃はまだ始まったばかりだ。(敬称略)(ジャーナリスト・大西康之)
※AERA 2021年11月29日号より抜粋