「運んできた尿素水は大きなタンクローリー1台分。価格にしたら3000万ウォン(290万円)くらいですが、それを買うために輸送機の燃料代だけで1億ウォン(970万円)かかった。文大統領はそういうパフォーマンスが好きなんです」
同日、韓国外交部は、韓国企業が中国政府と契約していた尿素1万8700トンについて「輸出手続きが進められることを確認した」と発表した。
「それが先週から少しずつ入るようになりました。政府は、1日あたりの尿素水の生産量が使用量を上回っているから『供給はかなり安定している』と言う。でも、尿素水の流通は政府が取り仕切っていて、配給制のような状況です」
■品切れ状態のガソリンスタンドも
現在、韓国政府は全国約100カ所の拠点ガソリンスタンドを設け、優先的に尿素水を供給している。
「価格は従来とほぼ同じなんですが、自由に買えるわけではなく、身分証明書を提示して購入頻度が調べられる。購入量も限られていて、トラックの場合、1回30リットルまでです」
一般のガソリンスタンドはどうなのか。
「価格は拠点スタンドの約2倍です。しかも、高速道路のサービスエリアでさえ、いつ行っても品切れという声が上がっています。11月はまだ1回も尿素水が入荷せず、困っているガソリンスタンドもある。しかも、買い占めをしていないか、政府の取り締まりがすごく厳しい。一般のガソリンスタンドにはものすごく不満が溜まっています」
さらに問題なのは、拠点ガソリンスタンドが都市部に偏っていることだ。
「韓国の田舎に行くと『村バス』というコミュニティーバスが走っているんですが、その運行が止まりそうなくらい尿素水の在庫がギリギリになっている。そんなニュースがたくさん出ています」
キムさんは現状をこう見る。
「韓国政府は、尿素水の供給は需要を上回っているから心配ないと言っていますが、みんなトラックやバスを思うように走らせることができない。その結果として尿素水の需要が減って供給が上回っているように、数字的には見えるのです」