中国では3年前の18年にイタリアの高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」の広告動画が「人種差別」として、不買運動が拡大した一件がある。アジア系の女性が箸を使って戸惑いながらピザやパスタを食べる内容の広告動画が中国版ツイッター・微博などに投稿されると、「中国人やアジア人を侮辱している」と怒りの声が殺到する事態に。上海で予定されていた同社のファッションショーが中止となり、中国の大手インターネット通販サイトが同社製品の取り扱いを停止するなど不買運動が広がった。
「中国の市場は大きいので、こういった不買運動は大きなダメージを受ける。ドルチェ&ガッバーナの騒動を見てきたので、ディオールは早期に鎮静化したかったのでしょう。賢明な判断だと思います」(同前)
制作者に差別の意識がなくても、受け手が差別と感じれば芸術として評価されない。ディオールが撤回した写真に賛否両論の意見があるが、グローバル化が進む中で細心の注意を払う必要があるだろう。(松木歩)