人気漫画家の西原理恵子さんの本音が炸裂、お金に対する考え方は? コロナ禍での暮らし方は? ふっと気持ちが楽になる“西原節”を「AERA Money2021秋号」より。
■投資はすっぱりやめた
「得意技は狼狽(ろうばい)売りです(笑)。1円でもプラスになったら狼狽して売ろうとします」
狼狽売りとは、相場の急変に心をかき乱され、株式や投資信託などを慌てて売ってしまうことを指す。決していい意味では使われない相場用語だ。
かつて「村上ファンド」を率いてニッポン放送買収を仕掛けた村上世彰(よしあき)さんとの共著もある西原さん。本業の傍ら投資も続けているのかと思っていたが、実際にはすっぱりと手を引いていた。
理由は「仕事に差し障るから」と、いたってシンプル。株式投資でも外貨投資でも、西原さんは買った直後から値動きが気になって仕方がないという。
「漫画を描いている間も株価が気になって、確認してしまう。そこで集中の糸が切れるわけです。ダメとわかっていても、つい株価を見ては、せっかくのアイデアが消えて……」
こんなことを繰り返すうちに心臓が急にどきどきしたり、精神面が変になったりして、西原さんは投資をやめた。
「スタッフを待たせっぱなしのうえに、明らかに仕事の質が落ちました。老後に2000万円の蓄えが必要だといわれますが、投資でプラス2000万円でも仕事でマイナスになればトータルで損」
■1枚50円の紙に描いた漫画が何百倍ものお金に
スタッフにも怒られて、目が覚めたという。
「1枚50円のケント紙に漫画を描いて原稿料が数万円だとしたら、それで何百倍ものお金になるでしょ。株の信用取引やFX(外国為替証拠金取引)みたいに、私が最強のレバレッジ(元手に対する、動かしたお金の投資効率)じゃないかって気づいた」
以前、日経225に連動するETF(上場投資信託)や個別株のソフトバンクグループ、暗号資産のビットコインを勧められたことがある。