そこで、坂本花織やベルギーのルナ・ヘンドリックスらは、「演技としての完成度を見せるための技術力」を磨いてきた。高難度ジャンプなどの技術を軸にした演技構成ではなく、まず「演技」という作品ありきで、そこに適切な技術を嵌めて完成度を高める、という方法論だ。現実に、坂本は今季ロシア選手以外では唯一のグランプリファイナル進出(大会は新型コロナ対策のため中止)。ルナ・ヘンドリックスも、グランプリシリーズイタリア大会で表彰台に上った。

 紀平の場合、元々は恐ろしく高い身体能力そのものが持ち味。身体で音を拾う能力に長けており、ストーリー性に乏しい「A Beautiful Storm」などの難曲も滑りこなしている。身体を万全に戻した上で、新たに戦略を立て直して復活すれば、今度こそ間違いなくロシア女子の対抗馬となるだろう。五輪を逃したショックは大きいが、まずは心身ともに完全な状態に戻すことが肝心だ。紀平の逆襲に、大いに期待したい。(菱守葵)

週刊朝日 オンライン限定記事 

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