「党内では和泉氏のような重鎮を大阪の特別顧問に連れてきた松井氏の手腕はさすがだという声がでている。安倍氏や菅氏に松井氏が直談判したんだろうと言われています」
だが、すでに安倍氏、菅氏は政権から去っている。安倍政権時代の自民党閣僚経験者がこう語る。
「岸田政権は官邸の力が強くなりすぎて、役所の自由闊達な意見が反映されにくいという理由で、和泉氏を切っている。簡単にいえば、岸田首相は官邸の力を笠に着た、和泉氏の手法をよく思っていない。だから、和泉氏のキャリアからみれば、物足りない一般財団法人の顧問先しかあてがわなかった。ある意味、大阪は岸田首相にケンカを吹っ掛けたとも見えますね。維新からみれば、国へのパイプのつもりでしょうが、岸田首相はそう見ませんよ。和泉氏が大阪万博やIRを担当となれば、かなりキナ臭くなる。和泉氏は安倍、菅官邸の中核にいた人ですから、大阪が重用するなら、逆効果になる可能性もあります」
和泉氏は補佐官だけでなく、国交省時代の官僚としての実績は申し分ない。しかし、2020年2月、和泉氏は厚生労働省の大坪寛子官房審議官と海外出張中に双方の部屋を自由に行き来できる「コネクティングルーム」に宿泊し、ノーベル生理学・医学賞受賞の山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所長に「プロジェクトに国から予算は出さない」などと恫喝していた疑惑を週刊文春で報じられた。
2020年2月7日、衆議院の予算委員会でコネクティングルームの疑惑について質問されると、厚労省の大坪氏はこう認めた。
「補佐官には医師の同行というものはございませんので、慣例上、医師免許を持っている人間として、そこに同行をいたしました」
当時の安倍首相が公私混同など疑惑になりかねないとして、和泉氏に注意したことを明かしている。
また、国の国家戦略特区に、加計学園の獣医学部が新設された際にも当時の文部科学省事務次官、前川喜平氏に圧力をかけたことが問題化した。