松下洸平さん直筆の連載タイトルロゴ
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ノブ あはは(笑)。ちょうどその時、松下くんが出演していた「#リモラブ」(日本テレビ系)を観てたからね。演技がぐっとくる、なかなかの本格派で、えらそうにいうわけじゃないけど、「視聴者寄り添い型俳優」だと思っていた。

松下 視聴者寄り添い型!!(笑)

ノブ でも、あの時、出川(哲朗)さんは絶対に誰かわかってなかったよね?

松下 「誰だい? この坊やは?」みたいな感じでした。

ノブ そうそう(笑)。

松下 「ゴチ」のオファーをいただいた時、正直すごく悩みました。僕は俳優しかやってきていなくて、バラエティーの世界で通用するのかが不安だったのと、ありのままの自分をさらけ出すことや、カッコ悪い姿も表に出していく勇気が当時の自分にはなかったんです。でも、憧れのナインティナインさんやノブさんとご一緒でき、さらにバラエティーを知り尽くしている先輩方の中でもまれたら、今後の自分の俳優人生の糧になるんじゃないか。何か殻を破れるのではないか。そう考えて、僕でよければ、と。

ノブ へー! そうなんだ。恥をかくことも含めて、全ての作業が俳優業に返ってくる、ということか。

松下 そうですね。

ノブ すごいね! ゴチは2週間に1回くらいのペースで収録日を押さえられてしまう。俳優さんたちは、ドラマとのスケジューリングでめちゃくちゃ難しいのに、よくオファー受けてくれるなと以前から思ってたのよ。そういうことだったのか。

松下 皆さんそれぞれ、いろんな覚悟を持って出てらっしゃったんじゃないかなと思います。

ノブ 松下くんには、バラエティー対応能力がもともとの資質としてある。俳優として苦労する中で、いじったりいじられたりすることにも慣れている感じがした。俺らも「やりやす!」と思ってました。

松下 そう言っていただき、うれしいです。ノブさん、体調はいかがですか? 首ですよね?

ノブ そうそう。気をつけてな。普通はなかなかなるもんではないんだけど。

松下 痛みを感じてすぐに病院に行かれたんですか?

ノブ いや、違う違う。最初は寝違えただけだと思ったからほっといたんや。飛行機の中で首を前に倒したまま寝てて、30分くらいして起きたらイテッと。

松下 それもあって、悪化したということですか?

ノブ いや、おそらく原因はそれなのよ。リクライニングさえできていれば……。飛行機は上空までリクライニングできないからね。上空に着くまでに寝てしまってたんや。痛みを感じてから5日くらい仕事してたけど、やっぱりおかしくて、嫁に病院に行ったほうがいいと言われた。行ったら、椎骨動脈解離と診断されて即入院。助けられたよ。

松下 もう少し延ばしていたら、どうなっていたかわからないですもんね。

ノブ そう。おかげで、めちゃくちゃ休めたわ。40日間、一切テレビ観ずに過ごしたよ。

松下 思想や考え方が変わりそうですね。

ノブ そうやな。笑い飯の哲夫さんが仏教書を送ってくれて、それを読んでたら、ツッコんだりするのバカらしいな、と思ったよ。人をもっと幸せにする仕事をしないといけない。

松下 あはは(笑)。

ノブ 悟りを開きそうになったよ(笑)。

(構成/編集部・古田真梨子)

※10月31日発売の「AERA 11月7日号」では、対談の続きを掲載しています。

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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