
■故人らしさ演出 スクリーン祭壇
そこでユニークな試みをしている葬儀社を取材した。ひとつは、東京近県を拠点とする「むすびす」。近年は生花の祭壇が主流になっているが、こちらでは畳数枚分のシルクスクリーンを用いた祭壇づくりを提案している。
草野球に熱を入れていた故人なら、なじみの球場のホームベースを中心にした写真をスクリーンのように棺の背後に貼りだす。いつも夏祭りの先頭に立っていた故人のいなせな法被姿の写真を等身大に引き伸ばして飾るなど、故人にあった送り方を提案している。
「当社では、メモリアルスクリーンと呼んでいますが、故郷の風景、満開の桜など故人らしいオリジナリティーを出せることから、月平均250件施行させていただいている中の6割以上のご利用をいただいています」と語るのは、むすびす株式会社・葬祭事業部の吉岡雄次部長代理だ。
「費用面でも、生花の祭壇と比べて抑えられるという利点もあります」
そのために専用の大型プリンターを導入しデザイン部門も設けている。
「スクリーンもそうですが、当社が力を入れているのは、まず担当がご家族にインタビューし、ひとつひとつプランを練っていくこと。ですから、まったく同じお葬式というのはありません」
むすびすでのコロナ禍での変化を問うと「10人前後の家族葬」「無宗教葬」「自宅での葬儀」の増加をあげた。
葬儀の縮小がいわれる中、葬儀社が提示する価格プランも驚くほど下落している。ネットを検索すると家族葬だと30万~70万円をよく目にするが、火葬だけだと10万円以下(火葬料金は別途だが、自治体によっては無料、1万円のところもある)のものも出てきている。
さらにコストダウンを図りたいなら「セルフ」という一案もある。

棺おけや骨つぼ、お坊さんの手配すらネットで可能な時代である。「3万円以下で火葬までできる場合も!」と節約マニュアル本も出ている。『DIY葬儀ハンドブック 遺体搬送から遺骨の供養まで』(駒草出版)だ。著者でライターの松本祐貴さんに都内で会ってみた。