みつはしちかこ(漫画家)/1941年、茨城県生まれ。62年、「小さな恋のものがたり」でデビュー。72年にはテレビドラマ化(日本テレビ系)し、76年発売の第10集はミリオンセラーを記録した。77年に同作で日本漫画家協会賞優秀賞受賞、2015年に手塚治虫文化賞・特別賞、日本漫画家協会賞・文部科学大臣賞を受賞。現在も季刊誌「ちい恋通信」で連載を続け、22年には連載開始から60周年を迎え、10月6日に第46集を発売予定。近著にエッセー集『小さなひとり暮らしのものがたり』(興陽館)など(撮影/写真映像部・高野楓菜)
みつはしちかこ(漫画家)/1941年、茨城県生まれ。62年、「小さな恋のものがたり」でデビュー。72年にはテレビドラマ化(日本テレビ系)し、76年発売の第10集はミリオンセラーを記録した。77年に同作で日本漫画家協会賞優秀賞受賞、2015年に手塚治虫文化賞・特別賞、日本漫画家協会賞・文部科学大臣賞を受賞。現在も季刊誌「ちい恋通信」で連載を続け、22年には連載開始から60周年を迎え、10月6日に第46集を発売予定。近著にエッセー集『小さなひとり暮らしのものがたり』(興陽館)など(撮影/写真映像部・高野楓菜)

林 前にどこかのインタビューで「思い出だけじゃ描くのがつらくなった」とおっしゃってましたが、そのときは、こねる材料がなくなっちゃったんですか。

みつはし いや、こね続けてます。でも年とともに「ま、いいか。この辺で」と自分に甘くなっていますね。甘くなると世界が広々してきたりして具合がいいのですよ。昔、私の漫画を売りこみに行く前にサリーにみてもらったんですよ。喫茶店で。

林 サリーのモデルになった彼ですね。

みつはし なんにも言わなかったから、おもしろくなかったのかなと思ったら、「みつはしさんの漫画って、チャーリー・チャップリンと共通するところがあるね。ユーモアとペーソスがあるよ」って、ちょっと興奮したみたいに言うんです。

林 ええ。

みつはし 私、ユーモアはわかるけど、「ペーソスって、どういうこと?」と辞書を引いたのですけど、どれもピッタリこない。そうか、チャップリンのような寅さんのような、噴き出しながら、ジーンとくるような場面のことかもしれない。でも私はまだまだという思いで夢の途中ですね。

林 えっ!? まだ途中ですか……。

みつはし 本当の漫画家にはまだなれてないという感じがします。

(構成/本誌・唐澤俊介 編集協力/一木俊雄)

※週刊朝日 2022年10月14日-21日合併号より抜粋

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