大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(28)の快進撃は、日本中を明るく勇気づけた。その「大谷劇場」もまもなく見納め。“大谷ロス”が心配だ。
* * *
「野球を見る習慣はなかったけど、朝の試合中継だけは気になって見ますね。笑顔で野球をする姿を見ると、こちらも明るい気持ちになれます」
都内に住む70代女性は弾んだ声で話す。投手と野手の二刀流で活躍を続ける大谷翔平の姿に毎朝、元気をもらっている。
「勝負の場面以外にも、海外の選手たちと笑顔で談笑している姿を見るだけでもいいですよね。なんて素敵な青年なんだろうと。ずっと見ていたいです」(前出女性)
神奈川県の60代の女性は、「家族の共通の関心事があってうれしい」と話す。
「『大谷君、今日も打ったね』とか、毎日の夫との話題が増えました。難しいルールはわかりませんが、大谷君の話題だと、互いに自然と穏やかになれるんです」
こうした人は多いだろう。記者もその一人だ。大谷が活躍するたびに誇らしく、「無安打」「敗戦」となれば悔しい。活躍に一喜一憂するあまり、「大谷の試合を観戦しないほうがいいかも」と思うことすらある。自分が見ているときに限って打たれたり、打席で凡退したりが多い気がするからだ。
そんな心配をよそに、大谷は今季も快進撃を続けた。8月には1918年のベーブ・ルース以来、104年ぶりとなる「2けた勝利・2けた本塁打」を達成。投手としては昨季を大きく上回る15勝、打者でも本塁打34本、打点94と、MVPに輝いた昨季に劣らぬ成績を残している(日本時間9月30日現在、以下同じ)。
まだまだ大谷の活躍を見ていたい。が、まもなく見納めだ。エンゼルスはア・リーグの地区3位で借金16と大きく負け越し、すでにプレーオフ進出の望みは絶たれているからだ。大谷が大活躍しても、チームは勝てない。そんな状況に、ネット上では「なおエ」というスラングが生まれた。大谷の活躍を伝えるニュースの最後に、「なおエンゼルスは敗れました」の一文がお約束で添えられることを揶揄(やゆ)した略語だ。