Mリーグのパブリックビューイング会場で盛り上がる観客。同じチームを応援するファン同士の交流も楽しみの一つだ(写真:ABEMA提供)
Mリーグのパブリックビューイング会場で盛り上がる観客。同じチームを応援するファン同士の交流も楽しみの一つだ(写真:ABEMA提供)

 麻雀のイメージが変わりつつある。ダークな成人男性の遊戯、という印象は過去のものに。競技や習い事として広がる現場を歩いた。AERA2022年10月3日号の記事を紹介する。

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 4月26日、東京・六本木のホール。カラフルな応援バルーンを手にした観客が、大画面に視線を注いでいた。その先にあるのは、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の対局だ。最新式の自動麻雀卓を、真剣な表情の選手4人が囲んでいる。

 昨秋から続いた長いシーズンの最終戦。優勝争いがもつれ、この試合次第で勝者が決まる展開になった。ファンは応援するチームの勝利を祈り、一打一打に歓声をあげたり、ため息をついたりする。その様子は、スポーツ観戦と同じだ。

 東京都の会社員、田岡奏子さん(26)は、昨年3月、Mリーグにはまった。友人から「面白い番組がある」と聞いて生中継を見ると、劣勢の選手が土壇場で奇跡的な手を決め、一撃で勝利するのを目の当たりにした。野球でいえば、逆転サヨナラ満塁本塁打のようなシーン。それまで麻雀とは縁がなかったが「こんなに面白くて格好いい競技があるなんて、と胸を打たれました」。

 以来、初心者教室に通ったり、スマホのアプリで遊んだりしてルールが分かると、より深く楽しめるようになった。「麻雀には『正解』がない。選手によってスタイルが違い、自由なところが魅力」と話す。

 中国で生まれた麻雀は、昭和初期から日本でも流行した。戦後も主に男性の娯楽として親しまれ、街の雀荘は仕事帰りの人々でにぎわった。1969年には阿佐田哲也氏が「麻雀放浪記」を連載し始め、賭博の世界を描いて大人気に。映画や劇画で裏社会の麻雀が登場することも多く、「ダークな大人の遊戯」というイメージが当時の男性を引きつけた側面もある。

 一方、知的な競技として突き詰め、真の強者を決めようとする動きもあった。70年代に始まった「王位戦」「最高位決定戦」など多くのタイトル戦ができ、「プロ雀士」が増えていく。「ミスター麻雀」と親しまれた小島武夫氏のように、メディアで活躍するスターも現れた。

■画期的な新リーグ誕生

 80年代ごろからは「賭けない・飲まない・吸わない」を合言葉に、「健康麻雀」がシニアを中心に広がる。さらに2000年前後から、ゲームセンターやネット上で対局できるゲームも盛んになった。

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