自閉症デーは知られてきたけれど

江利川 たくさんのつながりのひとつとして、今回のWarm Green Dayも企画されたのですか?

東 今年4月の世界自閉症啓発デーの時に、ある脳性まひの女性が「自閉症は浸透していて良いなぁ」と言ったんです。「脳性まひの日もあるのに誰も知らないですよね?」と。

スミス たしかに! 私たちも知らなかったです。

東 それで検索してみたら本当にあって。シンボルカラーがグリーンであることや、世界の動きも知ったので、Get in touchの定例ミーティングで「私たちにはノウハウがあるから脳性まひの日に何かしよう」と言ってみたのですが、3分の2くらいの人に反対されました(笑)

スミス 反対の理由は何だったのですか?

東 みんな本業があるのにこれ以上忙しくなるのは…というのもあったんだけれど、一番の理由は「脳性まひがわからない」でした。

スミス なるほど。

個々に違う脳性まひの症状

東 脳性まひの当事者も、「自分はこうだけど、(症状は)みんな違う」と言うのね。歩ける人も歩けない人も、知的に遅れのある人もない人もいる……と。あとは、脳性まひの方やご家族からクレームが来るのでは?という意見もありました。

江利川 どんなクレームを想像していましたか?

東  実際、「Warm Blue Day」をスタートした当初は「お祭り騒ぎをしてうちの子のことがわかるのか?」とか「あなたたちが楽しいだけ」という声がありました。結果的にはものすごく関心を持ってもらえて、その日には関連団体へのアクセス数がかなり増えるようになったのですが、「世界脳性まひの日」も同じように、不快に思う方がいるのではないかと。

 なかなかまとまらなかったので、いったん初心に戻ることにしました。「私たちは脳性まひの専門家になるのではなくて、まぜこぜの社会を目指すんだよね。そのために、10月6日はみんなに脳性まひのことに関心を持ってもらって、つながっていくことがGet in touchだよね」と確認して開催が決まりました。

江利川 私が知る限りですが、かるがもCPキッズの方の反応は、すごく良いように思います。どちらかというとみんな「脳性まひを知ってほしい」という意識が強いのです。

スミス 市民権を得たい……みたいなね(笑)

江利川 そうそう(笑)脳性まひは自閉症に比べて患者数がかなり少ないので、同じ障害の子どもやご家族に出会えず孤独だという相談がたくさんあります。周りに同じ環境の家庭がないと、自分だけが障害児を育てているように思えてしまうんですね。かるがものイベントに来た方はみんな「脳性まひの子どもってこんなにいるんだ!」と驚いて、このコミュニティーにホッとしてもらえているようです。だからつながりはとても大切です。ちづるさんが先頭に立って、脳性まひを知ってもらうためのイベントを開催して下さるのは、とてもありがたいことです。

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