同社が販売する、結婚式のキャンセル費用を補償する保険「佳き日のために」も加入者を増やしている。式の相場は300万~400万円。保険料3万6千円で上限500万円まで補償するプランが好評だ。開発のきっかけは、東日本大震災で多くの挙式が中止になったこと。コロナの感染者が増えている時期や、台風シーズンに問い合わせが多くなるという。また、晩婚化によるニーズも。健康問題を抱える高齢の親をもつ新郎新婦の場合、保険があれば挙式にチャレンジしやすくなる。
ミニ保険は「かゆいところに手が届く」商品が多い。同社の小市大輔さんは「損害保険会社と比べて売り上げ規模が小さいため、ニッチなニーズに応える商品に挑戦しやすいんです」と説明する。
一方、保険商品である以上、「保険金が下りると思っていたら下りなかった」というトラブルはつきものだ。業者の対応に納得いかない場合は、日本少額短期保険協会の相談室にSOSを求めることができる。ただ、協会の杉本茂也さんは、「どんな場合にどんな補償をしてほしいのかを整理し、確認してから加入するのが鉄則。詳細な説明は約款に書いていますが、難解なことも多い。腹落ちしなければ、面倒くさくても問い合わせましょう」と釘をさす。
またミニ保険にはセーフティーネットがないことにも注意が必要だ。通常の保険会社は国とお金を出しあい、倒産しても契約者に一定の補償ができる金額を積み立てている。一方ミニ保険を扱う業者は、毎年売り上げの5%を自社で積み立てることなどが定められているものの、たまっている額はまちまち。万一の際にほとんど補償されない可能性もある。
信頼性の高い業者を選ぶうえでヒントになるのが、各社のホームページに掲載されていることも多い「ディスクロージャー誌」だ。これは経営内容が開示されている冊子で、予想外のリスクに対する支払い能力である「ソルベンシー・マージン比率」が高いほど、財政が健全だと考えてよい。
リスクを理解し、賢く使えば、身近な不安を解消してくれるミニ保険。前出の杉本さんは、「インターネットで、興味のあるもの、たとえば『サーフィン 保険』などと検索してみると、自分に合った商品が見つかるかもしれません」とアドバイスする。親知らずの抜歯を控えている記者も試しに「歯 ミニ保険」と調べてみると、歯周病の患者向けの医療保険を見つけた。ミニ保険の世界、実に奥深い……。
(本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日オリジナル記事