エサを与える人がいるため、こんな注意書きも(埼玉県越谷市の新越谷駅近く)

 越谷市が対策に本腰を入れたのもちょうどそのころだった。カラス対策の専門業者「クロウラボ」、東京電力パワーグリッド、NTT東日本と提携。ICT(情報通信技術)を利用し、カラス自身が警戒する際に発する鳴き声をスピーカーを通じて流すことで、カラスを追い払う実証実験を北越谷駅東口などで始めた。

 カラス対策を担当する市の環境経済部では「すでに機器を設置して、カラスにとって警戒音になる鳴き声を流しています。ほかにもカラスに破られたネットの交換やゴミ集積所のパトロール、カラス対策の看板を設置するなどの対策もしていますが、相手は賢いし空を飛ぶので改善は難しい。実証実験中のカラス撃退音で追い払ったとしても、カラスは場所を変えるだけでいなくなるわけではないのが悩みのタネ」と話す。

 北越谷駅近くの居酒屋店主は言う。

「最近になってカラスの数は減っていると思うが、暑さに弱いからだと思っていた。市が対策を始めたとは聞いているが、そのおかげなのかどうか、俺にはわからないね。この辺にはカラスのねぐらがあるらしくて、今でも夕方過ぎるとたくさん集まってくるよ」

 駅からほど近い香取神社の前の通りには、電線に沿って道路が真っ白になるくらい大量のカラスの糞が落ちていた。

「私たちがいる時間帯はあんまり来ないんだけど、帰ってから集まるんでしょうね。朝来ると境内に設置してあるおみくじ用の台や、来訪者のためのベンチにカラスの糞が積もってる。毎朝毎朝掃除して消毒して……本当に大変です」

 香取神社の職員はこうこぼす。

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