矢萩:僕も大手進学塾で指導していたのでよくわかりますが、多くの塾における基準はやっぱり数字なんですよ。それも、第一志望にどれぐらい受かったか、という数字ではなくて、難関校に何人受かったか、の数字です。だから塾側としては少しでも偏差値が高い学校を受けて欲しいんです。

安浪:きっとそうなんでしょうね。加えて、運よく合格して入学しても、ちゃんと授業についていけるの?という先のことまで塾が考えてくれているのかどうか。塾の先生がその偏差値の高い学校の何がよくてすすめたかはわかりませんが、この質問だけを見ると、すごく表層的というか、1本の軸だけでモノを見ているような気がしますね。

■合う学校かどうかは、実際に通ってみないとわからない

矢萩:まずお母様としては偏差値よりも娘に合った学校を選んだと考えているんですから、いったいどんなところが合っていると思ったのか、きちんと言語化してみることが大事です。多分そこに質問者さんのご家庭の軸があると思うんです。

安浪:身も蓋もない話になりますが、その学校に本当に合っているかどうかは、実際に通ってみないとわかりません。桃源郷みたいな学校なんてないんですよ。多少合わないところがあっても「合わせていく」という意識も必要です。もちろん全然違うものに無理やり合わせなくてもいいけれど、その場所でどうしたら自分らしくやっていけるかどうかの模索は、どこの学校に行っても必要だと思うんです。

矢萩:合う前提で学校選びをしたのに、行ってみたらやっぱり違いました、というケースは実際いっぱいあります。それでもそこの学校に通い続けたい、と思う何らかの魅力が一つでもあるかどうか。これはちゃんと確認しておいたほうがよいですね。

安浪:そして、いつも矢萩さんと話していることですが、「それでもやはり違う」となったら、また違う道を選び直せばいいと思うので。

矢萩:塾の先生だって、学校の内部のことは詳しくないわけです。学校のカラーは確かにありますが、学年ごとに違いは出てきますし、校長や先生が変わることもあります。卒業生の話を聞いたからとか、何年か前に説明会に行ったからといって、その情報を丸ごと信用はできない。

NEXT塾の先生は子どもに合う学校選びのプロではない
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