分科会の尾身茂会長と小池東京都知事
分科会の尾身茂会長と小池東京都知事
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 新型コロナウイルスの国内感染者は1月21日、新たに4万9854人が確認され、4日連続で過去最多を更新した。東京は新たに9699人、大阪は6254人、神奈川は3412人、愛知3187人など、25都道府県で新規感染者が最多となった。

【独占】尾身氏らが厚労省へ提出した専門家提言の修正ビフォ―アフター

 21日から東京など1都12県に対して「まん延防止等重点措置」が適用され、すでに適用中の沖縄・広島・山口の3県をあわせて16都県になった。大阪、兵庫、京都、福岡、北海道など今後、新たに13の道府県が適用申請する予定だ。

 そんな中、「今回はステイホームなんて必要ないと思う」などと発言し、政府や知事会などから批判されていた政府分科会会長の尾身茂氏が外堀を埋められ、軌道修正に追い込まれた。

 尾身氏は有志の専門家らと連名で20日、厚生労働省アドバイザリーボードの会合で、「効果的な対策を一言でいうと、外出自粛などのいわゆる”人流抑制”ではなく、人数制限”」、「若年層の多くは感染しても症状は軽く、自宅療養で軽快していることを踏まえ、例えば、検査を実施せず、臨床症状のみで診断を行うことも検討」などの対策案を提言。これまで政府や自治体が取り組んできた人流抑制や検査を否定するかのような案に、異論が続出していた。

 後藤茂之厚生労働相はAERAdot.の既報どおり、こうした尾身氏の発言の軌道修正に乗り出した。

 21日の記者会見で「現時点では、体調が悪い場合には受診や検査をしていただく必要がある」と若年層の検査なしを打ち消した。

 さらに外出自粛などの「人流抑制」ではなく、感染リスクの高い場面での接触機会を減らす「人数制限」が必要という尾身氏の見解については「接触機会を確実に減らしていくための人数制限も大切だが、感染が拡大し、医療のひっ迫が生じる場合には、より強い形での人流抑制が必要になる」「基本的に(対策は)変わらない」などの認識を示した。

 東京都の小池百合子知事も同日の定例会見で、「尾身会長の発言は、国の基本的対処方針を超えている。国との整合性をとって欲しい」と苦言。

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尾身氏らの提言案のビフォ―アフター