虚無があふれ出てくるような瞳に、思わず釘づけになる。King & Princeの永瀬廉が、1月21日に公開された主演映画「真夜中乙女戦争」で演じるのは、友人も恋人もおらず夢もない、退屈な日々を鬱屈とした思いで過ごす大学生“私”。永瀬自身も、思春期には悩みを抱いていたそうで──。

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──“私”が、片想いの相手“先輩”やカリスマ性を持つ謎の男“黒服”と出会い、東京を破壊する計画に巻き込まれるミステリアスな作品です。ご自身はどんな物語だと捉えていますか?

 最初「真夜中乙女戦争、主演」って聞いて、「え、なに、女の子めっちゃ出るの?」みたいに思ったのが正直な第一印象でしたね(笑)。でも中身を見てみたら全然違って。タイトルから勝手に想像していたイメージに裏切られました。

 主人公の“私”って、現代の人が抱えてる悩みをぎゅっと固めたようなものを持ってる人物で。自分を変えたいなと思ってるんですけど、そんな勇気が出ず。でも“先輩”や“黒服”と出会って、影響されていくごとにどんどん人間らしくなっていく。そういう青春のあがきの物語です。

──印象に残っている台詞は?

 自分のシーンじゃないんですけど、心にずしっときた言葉があります。「いい家住んでもどうせ最後は棺桶で、どんなブランドの服を買っても鉄、布、繊維、革。いいもの食べても最後は下水。なんのために生きてるんだろうな」って。

 すごい持っていかれましたね。絶望していたうえにさらに絶望が覆いかぶさってくる感じというか。でもこういうこと思ってる人めちゃめちゃ多いんだろうなって考えさせられました。

 もう数えきれないくらい名言があるんです。これからの人生のどこか大事なタイミングで、この作品が紡いだ言葉を思い出すんだろうな、って思うくらい心に残りました。

──“私”を演じるうえで大切にしたことは?

 うーん。表情ですかね。孤独とか喪失感とかいろいろな感情をこじらせて、それを普段から出してる人間なので、表情をなくして。しゃべりかたも一定のロートーンを意識してました。

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