
在日米軍に対する“支援”の意味合いが強い「思いやり」という言葉をやめて、より実態に合わせた表現にしたというのだ。
実際、今回の合意では「思いやり予算」の象徴ともされてきた在日米軍の光熱水費を削り、日本側の負担割合を約61%(234億円)から今後5年間で約35%(133億円)に段階的に下げることが決まった。その代わりに、日米の防衛力強化に資する共同訓練にかかる費用を負担する「質の転換」を図ったのが、「同盟強靱化」にあたる、という理屈だ。
だが、これを「成果」と捉えるかどうかは、安全保障政策の価値をどこに見いだすかによる。
光熱水費には想定できる上限があるが、訓練資機材調達費は将来的にさらなる肩代わりを求められ、際限なく積み増しされていく可能性もある。「思いやり予算」の経緯を振り返れば、そんな危惧を抱かざるを得ない。
そもそも在日米軍の駐留経費は、日米地位協定24条によって米側の負担が原則とされてきた。それが同条の解釈変更によって、なし崩し的に拡大していった。米軍基地で働く日本人の労務費の一部を手始めに、隊舎などの施設整備費、光熱水費、訓練の移転費と、「例外」の範囲は拡大の一途をたどる。
■際立つ日本の厚遇ぶり 大盤振る舞いできぬ財政
1978年度に62億円の支出で始まった駐留経費は、ピーク時の99年度には年間2756億円に膨らんだ。
これ以外にも、日本政府は在日米軍の維持に関する予算として、基地周辺の住宅防音工事や公共施設整備事業、軍用地の借料や漁業補償などを計上している。ほかにも自治体への交付金なども含め、近年は6千億円前後の支出で推移している。
その結果、日本の厚遇ぶりは、他の同盟国に比べ、際立っている。
米国が2004年に公表した各国の負担率は、日本74.5%、イタリア41%、ドイツ33%、韓国40%だった。米国の政治学者ケント・カルダー氏は「米国の戦略目標に対して日本ほど一貫して気前のいい支援を行ってきた国はない」と指摘。「02年の日本の米軍援助総額は、46億ドルを超えている。これは世界各国から米国が受けている受け入れ国支援総額の60%以上にあたる。日本に配置された兵士1人あたりに対する援助額は、ドイツと比べると5倍近い」(『米軍再編の政治学』)と解説している。