
在日米軍の駐留費用を支援する通称「思いやり予算」。それを政府は、「同盟強靱化予算」に言い換えると表明した。支出の実態にあわせた表現だとするが、際限ない負担増につながる可能性をはらむ。AERA 2022年2月7日号の記事を紹介する。
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コロナ禍の五輪を「安心・安全の大会」と唱え、こども庁はいつの間にか「こども家庭庁」になった。何か変。そう感じる人も少なくないだろう。
政府はこれまでも、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を「平和安全法制」と命名し、「武器輸出」を「防衛装備移転」といった具合に言葉の置き換えを図ってきた。
巧妙なのか、露骨なのか、それとも稚拙なのか。人によって見方は分かれるだろうが、そこには「こう解釈してほしい」という国の願望や、不都合な真実を覆い隠す意図も見え隠れする。
そして今回、在日米軍駐留経費負担、いわゆる「思いやり予算」を「同盟強靱(きょうじん)化予算」と言いだした。これは何を意味するのか。
日米両政府は昨年12月21日、2022年度から5年間の在日米軍駐留経費を、年度平均2110億円とする方針で合意した。岸信夫防衛相は記者会見で、こう胸を張った。
「厳しい安全保障環境に肩を並べて立ち向かっていく決意、日米同盟をより強靱なものとしていく決意を示すことができた」
■新たな負担が際限なく積み増されていく可能性
会見では、新たな負担項目として「訓練資機材調達費」を盛り込むと発表した。在日米軍が射撃訓練やサイバー訓練で使う最新鋭の資機材の調達費用として、日本側は今後、5年間で最大200億円を負担する。岸氏は会見で、広く定着していた「思いやり予算」の通称を「同盟強靱化予算」に言い換えることも明らかにした。
新たな呼称は、外務省北米局の職員が発案した、ともされる。林芳正外相は同日の会見でこう説明した。
「思いやり予算という呼び方は俗称。負担の性質を端的に示すものとして同盟強靱化予算と呼ぶことにした」